土曜の夜の特急列車
先日の土曜の夜、特急電車に乗った。
途中駅からの乗車。仕事帰りやら家族連れやら、そこそこ混んでいた。
指定された席は2列シートの窓際。あれかな?
私が乗るはずの席に、30歳くらいのサラリーマンらしき人が酔いつぶれて寝ているではないか。両手両足を伸ばして取り散らかった感じ。しかも隣の席にはカバンが置かれている。
「すみません」と声をかけるが、ビクともしない。大きな声でもう一度。ちょんちょんと肩をつついても動かない。
こりゃだめだ。
赤の他人の見知らぬ男性に触れるのは気が進まなかったが、両手で大きく揺さぶったら、あわててカバンをどけてくれた。
本当は席が違う。私が窓際のほうなんだけど、この際、それはもういい。どうぞ寄りかかってきたりしませんように。
青年は爆睡したまま、握りしめた携帯を何度もこちら側に落としそうになる。こっちも落ち着かない。
突然、「マジか!」と叫ぶと、私の膝の上をまたいで飛び出していった。「すみません」を連発しながら。脚が長くてよかったこと…。
電話をかけにデッキに出たのだろう。カバンは置いたまま。窓の縁にはハイボールの空き缶が1本。
青年は酔いつぶれたのではなく、疲労困憊して眠りこけていたようだ。
何があったんだか、なかなか戻ってこない。結局、電車を降りるまでのほとんどの時間、2列シートを私一人で独占しながら揺られていった。
お疲れさん。