川崎病後遺症その後の人生

川崎病という病名がまだない頃、川崎病にかかり後遺症として心臓に冠動脈障害を持つ。何も知らないまま大人になり、人生後半戦に入っても健康な日々を過ごしてきたが…。還暦を目前に始まった川崎病との付き合い方とは。

歩いてますか?

先日、今年最後の健診に行った。

今回は血液検査はなし。12月は宴会が多くて数値が変わりやすいからだろうか、などとしょうもないことが頭をよぎってしまう。ここで検診を受けるのは病人だけなのに。

心電図も良好らしく、先生からこれといった話もなく、

「歩いてますか?」

突然訊かれてちょっと面食らってしまった。

今まで一度も「歩きましょう」と言われたことがなかったもので。

もっとも、この業界では当然のこととして、言われなくても歩かなくてはいけないものなのだろう。「飲み過ぎないようにしてください」と、ただの一度も言われたことがないのと同様に。

「歩数はどれくらいですか?」

えっ?

先生がにっこり微笑んで尋ねてくるとは。

これがあの「6時間耐久・カテーテル」の統括者として現場を指揮し、非情な指示をビシバシと出し続けた人と同じ人物なんだろうか、と思うくらいの穏やかさ。

「6千歩くらいです」

「じゃあ大丈夫ですね」

えっ、そんなんでいいの?

家から最寄り駅まで往復するだけでも5千歩は超えるのだ。これでいいとは、まるで「心臓の悪いお婆さん」扱いではないか。

 

そうか、自分は「心臓の悪いお婆さん」というカテゴリーに入れられるんだ。

病気であるということとは、ちょっとばかりニュアンスの違う現実を突きつけられたような気がした。

 

 

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